はんだ(基本)

《はんだが飛ぶ?…ほんとう???》

お客様からよく「あなたの所の基板面に、はんだボールが多い、
何とか対策出来ないのか?」とよくクレームが付くことが有り
ます。指摘された基板をよく見ると確かに基板上に多くの『は
んだボール』が有るのが確認されます。
私は、ずっと以前から『はんだが飛ぶ』と言う事に疑問を持っ
ていました。確かに本にも『飛ぶ』と書かれている本がありま
す。また多くの人が『はんだが飛ぶ』、『フラックスと一緒に
はんだが飛ぶ』と言われます。本当かな?と半信半疑でした。
なぜなら、はんだと言う金属を飛ばすには『力』が絶対必要で
す。ピッチャーは力を込めてボールをキャッチャーに投げます。
子供はサッカーボールを力強く蹴飛ばしボールを飛ばします。
そのような『力』は、はんだを溶かす時、どこから発生してい
るのか?はんだは融点になれば、固体から液体になるだけです。
その時の膨張係数?金属のはんだが2倍、3倍にもなる膨張係
数はありません。確かにフラックスは飛びます、飛散します。
『フラックスと一緒に飛ぶ』と言う人がいます。しかし、基板
面の飛んだはんだボールをよく顕微鏡で見てみると、そのボー
ルの表面にはフラックスは付着していません。これらの事に以
前から疑問を持ち続け、何年か前にこの結論を得ました。それ
は、『はんだは絶対に飛ばない、飛ばしているのです』と言う
事です。ある日、コテ作業の非常に上手な作業者とそうでない
作業者の基板面を比較して、その出来ばえを見てがく然としま
した。その時に気が付いて写真のような実験を現場リーダ達と
やりました。白紙のA4の中央部に穴を開け、基板の上に置き
はんだゴテを動かさず固定させ、糸はんだを加える。これを何
回も作業をする。片やはんだゴテを動かし作業をする。その後
両者の紙の上を顕微鏡で確認した結果、後者はフラックス飛散
あり、ボールの飛散も有りましたが、前者はフラックス飛散は
ありましたが、ボールの飛散は皆無でした。丁度、水の入った
コップに箸を入れ、その箸を動かせば水滴が回りに飛ばされま
す。この原理だと考えます。これで私は『はんだは飛ばない、
飛ばしているのだ。飛ばしている事を『飛ぶ』と言えば飛ぶこ
とになります』と言う結論を得ました。皆様も実験してくださ
い。面白い真実が分かるはずです。
従って、コテ作業者への指導は、コテを当てる目的、意味なく
コテ先を動かさないこと等の指導が必要です。(作業者によっ
ては、変なクセを持った作業者がいます。直させる事が必要)

また、クリームはんだを使用するSMTの現場でもはんだボー
ルは発生します。これは、又別なカラクリです。このカラクリ
に付いては後日のブログで記したいと思います。
    Imgp1741         

(実験)
A4の白紙の
中央部で、
はんだゴテを
固定し、糸は
んだを加える。
またコテを動
かし糸はんだ
を加える。

Imgp1793 はんだゴテを
固定してヤニ
入り糸はんだ
を加えた。
フラックスの
飛散あり、は
んだボールの
飛散無し。

Imgp1783 コテ先を動か
した作業。
はんだボール
飛散、ボール
の周囲、フラ
ックス 付着
なし。                              

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魔法の物質『フラックス!』

Photo_5 Photo_6

長く、ブログをお休みして申し訳ありません。
これからは続けていきたいと思っていますので、
よろしくお願いします。

写真は『はんだツノ』とIC端子『ブリッジ』の不良写真
です。フラックスは、はんだ付け時、無くてはならない
物質です。フラックスの働きとして下記の2点はよく知
られています。

   (1)母材の酸化膜除去
   (2)はんだの表面張力を下げる
(1)は、SMTの現場でも又修理係のはんだゴテ作業でも
我々は自然な働きとして利用しています。しかし(2)に
付いては日頃、的を得た利用の仕方をしていないように思
います。と言う事は(2)を本当の意味で理解されている
のかなあ?と思います。非常に便利なフラックスをもっと
利用すべきだと私は考えます。
例えば写真の様なはんだ付け不良で『はんだツノ』、
『ブリッジ』の不良は日常、非常に多く発生します。これ
などフラックスの(2)の効用が分かっていれば容易に修
理出来ます。ところが生産現場では『はんだツノ』を修理
するのに、殆ど修理者ははんだゴテでその部分のツノを取
ろうとしています。もともとツノの原因は、溶融はんだの
中にフラックスが無くなったために発生した不良ですから、
はんだゴテだけでツノを取り除こうとしても取れません。
逆にもっと大きなツノを作ってしまう事になります。
その場合(2)表面張力を下げる事が分かっているのです
から、ツノの部分にフラックス液を一滴(魔法の一滴)落
とす、又フラックス液をしみ込ませた筆でその場所をなで、
コテを当てるだけで綺麗にツノは取れます。
『ブリッジ』の修理も同じです。ブリッジ箇所にコテを
当て、2回、3回、4回とブリッジになった箇所のはんだ
を取ろうとします。これもなかなか取れません。その内に
何度もコテ先を当てるため高熱により『パターンはがれ』
と言う別な不良を発生させてしまい、基板は廃却という
とんでもない結果になってしまいます。またブリッジの
箇所に糸はんだを追加してブリッジの修理をする修理者
も非常に多いです。これは、糸はんだの中のフラックス
を利用しているのですが、はんだ量が多いブリッジ箇所
に更にはんだを使うのは、高価なはんだの無駄使いにな
ります。ここでもフラックス液を一滴(魔法の一滴)を
ブリッジ箇所に落とし、コテを当てるだけで何の努力なし
で綺麗にブリッジが無くなります。修理者はフラックス
液を入れた注射器一本を持てばいいのです。またフラッ
クス液をしみ込ませた小さな筆を一本持てばいいのです。
そうすれば、これらの不良を即修理できる魔法使いにな
れます。これが(2)の意味を理解したと言う事ではな
いでしょうか?
【注】後、上記不良品を修理する時、『吸い取り線』を使う
方法が有りますが、これは技能ノウハウが必要で初心者
の方が使用すると、パターンはがし、線材残しなどの2次
不良を発生させる事があります。ベテランの方は、大いに
『吸い取り線』を使用されるのは結構ですが、初心者の方
は上記のフラックス『一滴』、『一筆』の方法が確実で安全
です。

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日本溶接協会と私

私は、現在中国で仕事をしています。
日本で長く、はんだ付けの仕事をしていた頃、
日本溶接協会のお世話になりました。その
当時(約10年前の話ですが)はんだ付けの
資格には、下記の4つの資格がありました。

 ① コテ作業者用(オペレータ クラス)
 ② はんだ検査員用(インスペクタ クラス)
 ③ 指導者用(インストラクタ クラス)
 ④ 技術者(エンジニア クラス)

それぞれ、セミナーを受講したり、試験(学科、
実技)を受けたりしましたが、今から思うと様
々な思いでがあります。①オペレータ クラス
の実技試験中(東京)制限時間の3分前、実
技試験基板を完成させていましたが、ミニモ
TRのはんだ量が多少、多めな事が気にかか
り、吸い取り線ではんだを吸い取っていまし
た。その時、事故が起こりました。なんと!
作業ミスにより、パターン断線をさせてしまっ
たのです。その時の気持ちは『バカなこと!』
蛇足そのものでした。(その日、東京から
福島県相馬に帰る車中、缶ビールを飲み
ケセラセラの気分でした)結果は勿論不合格!
後日、再挑戦で①は取得しました。また④技
術者用クラスのセミナー(仙台)の後半時の
途中、突然大阪の実家から携帯に電話が入り
「母、危篤すぐ帰れ」でした、講師の先生に
事情を説明し、急ぎ仙台空港から伊丹空港へ
飛び、病院へ駆けつけ間に合いましたが、
3日後、母は亡くなりました。後日仕事中、
溶接協会からセミナー終了証が届き、ホット
しました。
私は、三十年近く、アルプス電気(相馬)の
はんだ付け(技術部、生産技術部、生産部、
品管部)に従事していました。日本溶接協会
の講義内容、実技内容は、日本でも非常に
役に立ちました。また今の中国でも非常に
役に立っています。しかし、溶接協会の活動
に付いて、なぜか?あまり高い評価をしない
方もいらっしゃいます。「溶接協会の話は、
生産現場に合わない」とか「溶接協会の講義
の通り、出来るわけがない」などなど....
しかし、私は溶接協会の講義内容、実技内容
は、はんだ付けの基本であり、はんだ付けの
原理原則だと思います。受講者は、それらを
各企業に持ち帰り、各企業のの製品、基板
ごとにモディファイするのが、講義を受けた者
のやるべき仕事だと私は思います。特に、
鉛フリーになってきた現在、基本と原理原則
を無視したために、生産現場で不良の山にな
っている所をよく見かけます。私は、共晶はん
だ(有鉛)の時は、融点が低いため、これらを
無視したはんだ付けでも、何とかはんだが付
いたように出来た。しかし、鉛フリーの時代
では、これらの基本、原理原則を無視出来な
くなった。はんだ付けは、基本を無視して出来
るような、そんなに甘いものではないと考えて
います。

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はんだ付け作業

初めてブログに投稿します。今後ともよろしくお願いします。

長年、私は『はんだ付け』生産現場に携わってきました。これまでの経験してきた事また、現場で実験してきた事など、このブログに掲示したいと考えています。電気関係、機械関係の分野は、技術的に完成されつつあり、 非常に多くの人が携わりメジャーな分野であると思われます。それに反して『はんだ付け』の分野は、非常にマイナーな分野です。そのために色々と弊害が生じているのも事実です。
その弊害で大きなものは、次の2点だと思います。

(1) 真実でなくても、あたかも真実のような道理が一人歩き
       している
(2) ごまかしのはんだ付けと、正しいはんだ付けの境目が
       分かりにくい

(1) に関して、以前、私が出席した東京でのセミナーで、講師(某会社)の人が『皆さん、リフロー炉の中で、チップ立ちの不良が発生するのは、どの時と思いますか?チップ立ち不良が発生するのは、炉の中でクリームはんだが固まる瞬間にチップが立つのです』と説明されていました。これなど真実ではありません。

(2) に関して、はんだ融点(183℃)の低い有鉛はんだ(共晶はんだ)の時代はたとえ、ごまかしのはんだ付けを行っても、うまくはんだ付けされたようになりました。しかし、現在は無鉛はんだ(鉛フリー)の時代です。融点は約40℃も高くなり、約220℃です。こうなれば、従来のごまかしが通用しなくなり、生産現場では、従来より不良がより発生しやすくなり、顧客、市場にもれていく事になります。鉛フリーの時代は、もうごまかしが効かなくなってきました。従って、矢張り鉛フリーのはんだ付けは、正しい基本に乗っ取り、はんだの原理原則に乗っ取った正しい作業をしなければなりません。これなど決して難しい作業ではありません。はんだ付けの基本と、その原理原則に従って作業をすれば、なにも難しい作業ではないと考えます。この事が、生産現場で徹底されていないのが現状のように思われます。

以上、私の初めてのブログの原稿です。今後、より具体的な内容をおもしろ、おかしく載せていきたいと考えています。質問、問い合わせなど有りましたら、どんどん私のメールに投稿願います。更に詳細な面に関しての『はんだ付け不良改善対策』に付いては工場にお邪魔し、実施していこうと考えています。
今後ともよろしくお願いします。

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